こんにちは! しばらく就職活動でお休みをいただいていた、学生スタッフHOです。

今回はブログということで皆さんが興味を持って貰えるようなものを書こうと思ったのですが、ネタが思いつきませんでした… そのため、ありきたりですが自分が専門とする材料工学について書きたいと思います。

突然ですが、材料工学って一体何でしょうか・・・

簡単に言いますと材料工学とは材料の性質や機能を解明することと、新しい材料を作り出すことを目的とした学問です。この材料というのは金属、ガラス、高分子、セラミックなど幅広いモノを対象としています。

この材料工学は機械・電気・情報・土木と比べると圧倒的に専門している学生数の割合が少なく、その他の工学に分類されてしまうほど知名度も低いので一般の人にはあまりイメージが湧かないと思います。(図1参照)

図1. 工学部の分野ごとの人数と割合[1]

さて、ここからは皆さんに材料工学のイメージを持って貰うために、そのような材料工学が一体どのように社会で役立っているかをお話しします。例えば分かり易い例として飛行機があります。

従来の飛行機の機体は金属材料でできていましてが、最新の飛行機の機体は金属ではなくカーボン複合材という新しい材料が用いられています。簡単に説明しますとカーボン複合材とは服の素材に用いられるアクリル等の有機系繊維を蒸し焼きにし、炭素以外の元素できるだけ抜いてつくった炭素繊維と、樹脂を混ぜ合わせたものです。

そしてこのカーボン複合材という材料を飛行機に用いることで新しく実現したことがいくつかあります。

1点目は従来と比べて窓の大きさを1.3倍に出来たことです。

カーボン複合材という材料は鉄と比べると、強度は10倍以上と非常に丈夫な材料です。そのため、これを飛行機の機体に用いることで胴体部分を構成している骨組みの数を減らすことできました。実は飛行機の窓というのは骨組みのない場所にしか作れないので、骨組みの数が減らせることで結果として窓のスペースを大きく確保できるようになりました。

図2. 窓の大きさ比較(左図:カーボン複合材使用の飛行機、右図:金属材料使用の飛行機)[2]

2点目は機内の湿度を10%~20%に保つこと出来るようになったことです。

長時間のフライトで飛行機に乗っていると、空気の乾燥により喉が痛くなったり肌が荒れたりと、不快になる人がほとんどではないでしょうか。実は飛行機はこれまであえて乾燥させている状況にさせていました。理由としては飛行機に用いている材料が金属材料であったため、サビを防止するためです。しかし、カーボン複合材は金属ではないため、サビの心配をすることなく、機内に加湿器を設置することができるようになりました。結果としてこれまでの10%以下の湿度を、10%~20%に改善することできるようになり、快適な環境を実現できました。

図3. カーボン複合材使用の飛行機の機内[3]

3点目は機内の気圧を高めることができたことです。

飛行機に乗ると耳が詰まったりツンとしたりすることはありませんか。その原因は地上との気圧差で、飛行時、1万数千mという高い高度を飛ぶ機内気圧は地上の1/5程度しかありません。そこで空気を送り込むことで機内の気圧を高めていますが、従来の飛行機の場合、機内の気圧は富士山の5合目の高さに相当する2,400m前後でした。しかし、これも金属材料よりも丈夫なカーボン複合材を用いることで、機内の気圧を、富士山の3合目の1800m前後の気圧まで高めることできるようになりました。結果として地上との気圧差が小さくなり、従来の飛行機よりも耳詰まり等が起こりにくくなっています。

図4. 富士山の外観[4]

さて、このように普段何気なく利用している飛行機の機内環境は飛躍的に向上しつつあり、それはカーボン複合材という新しい材料が開発されたことで実現しました。材料工学というはあまり一般の人には認知されていませんが、材料とは全てのモノの根源であり、縁の下の力持ちです。そのため、飛行機を変えたように今後も社会を変える可能性を秘めた分野だと思います。そのような部分が材料工学の魅力ではないでしょうか。

話は変わりますが今年の秋学期にはICCのフィールドトリップ イベントとして航空会社の整備工場見学が予定されています。このブログを呼んでいただいた皆さんには、整備工場で飛行機を見たときに材料の話を思い出して、航空会社の方に聞いてみて欲しいです。きっと最新の飛行機について理解が深まるでしょう。

以上、私の長々とした文章に最後までお付き合いいただきありがとうございました。

写真引用元

[1] 大学 学部・学科分野別学生数とその割合

[2] 窓の大きさ比較(左図:カーボン複合材使用の飛行機、右図:金属材料使用の飛行機)

[3]カーボン複合材使用の飛行機の機内

[4] 富士山の外観,

H. O. (Student Staff Leader)