MAY
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神楽坂 石畳と“塀”のなか

皆さんは、神楽坂に行ったことがありますか?

 

 

早稲田駅の次の駅である、神楽坂。九段下や大手町に比べ利用客は少ないが、品のいい駅である。

 

神楽坂駅の出口を出ると、目の前になだらかな坂道が広がる。神楽坂通りだ。地面は赤色のレンガ畳が敷き詰められており、両端には街路樹として欅(けやき)が植えられている。

 

 ハイヒールの音をコツコツと鳴らしながら、神楽坂通りを下る。両側には陶器店、金物店、書店、和菓子店、甘味処など昔ながらの店が目立つ。一方で、洒落たカフェやベーカリー、雑貨店などもあり、昔と今が融合している。

 

 そんな神楽坂通りを少し歩くと、ある通りとぶつかる。本田横丁だ。車一台が通れるくらいの道幅で、居酒屋が軒を連ねる。私は、引き寄せられるように、その横丁に入った。午前中のせいか人通りも少なく、自転車に乗った主婦の方とすれ違うくらいだ。

 

 そんな下町情緒が漂う、横丁をすすんでいるといきなり石段が表れた。一歩一歩、ゆっくりと、その石段を、のぼる。その石段をのぼった先に広がる光景に、私ははっとした。
とても、東京だとは思えない、古京都のような細い石畳が広がっていたのだ。道の両側は、白や黒の高塀でおおわれている。塀は屋根が付いており、下部は苔でおおわれていた。屋根の上からは、若々しい木々が頭を出している。私は、どうしても塀の中を見たいという気持ちに駆られた。

 

だが、塀は高く、中をのぞくことはできない。その上、塀の中からは物音ひとつ聞こえなかった。さらに、石畳には、細い電柱が一本控えめに立っているだけで、人っ子一人いない。

 

 いったいここはどこなのだろうか?まるで不思議な世界に迷い込んだような気がして、このまま進んだらこの細い石畳の通りから出られなくなるのではないかと思った。

 

 のちに調べると、その通りは「兵庫横丁」という通りで、武器商人の町であったことからその名が付いたらしい。鎌倉時代から続く由緒ある通りだった。軒を連ねていたのは、あの塀の中は、料亭や旅館であった。しかし、塀の中に何があるのかを知っても、私はあの塀の中になぜか引き寄せられる。

 

 

 

 皆さんも私の話に興味をもったなら、ぜひ「兵庫横丁」に足を運んでほしい。

 

 

TM(ICC 学生スタッフ)