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外交の担い手

「外交感覚のない国民は、必ず凋落する」

 

故吉田茂元首相が残した格言です。

 

彼が意とするところは詳しくは分かりませんが、皆さんは「外交感覚」「外交」について意識したことがありますか?

 

と問われても、こう思うかもしれません。

 
「『外交感覚』なんて曖昧なことを言われても、良く分からない」
「そもそも『外交』って政府の仕事だし、私たちにはあまり関係ないのでは?」

 
確かに、一面ではその通りで、「外交」とは外交官や政治家が担い手となって、
国家間の関係(国際関係)を調整していく営みであると言われています。

 
歴史を紐解けば、国家は外交を行う際に、軍事力や経済力などの国力
(=ハード・パワー)を手段として関係国に影響を与え、自国に利のある
状況を作ろうとしてきました。

 
「しかし、現在、日本のおかれた状況を考えると、ハード・パワーを用いての
 外交には歩どまりがある。これからの日本はソフト・パワーにも重点を置き、
 諸外国からより一層強い関心を持ってもらうことで外交の基盤を強くして
 いかなければならない」

 
先日、ICCのイベントで講演してくださった外務省広報文化交流部、
木戸大介ロベルトさんはこう話し始めました。

 

そのイベントはICCアカデミック・フォーラムという、日本人学生と外交人学生の知的交流の促進を目的にしたもので、今回は「パブリック・ディプロマシー」をテーマにして開催しました。

 

パブリック・ディプロマシーとは、「広報や文化交流を通じて、民間とも連携しながら、外国の国民や世論に直接働きかける外交活動のことで日本語では「対市民外交」や「広報外交」と訳されることが多い言葉」(外務省HP)です。

 

その中でのキー概念、「ソフト・パワー」とは、簡単に言えば「強制や報酬によってではなく、魅力により他国に影響を与える力」

 
木戸さんのご講演内容を要約すると、つまり、これからの日本外交の方向性として、
日本が持つ「魅力」というリソースに着目して、諸外国の市民や有識者に働きかけ、
より日本を理解してもらう、「日本のファン」になってもらうことに力を入れて
いくことが大事である。IT技術の発展やグローバル化により、「世論」の力が
増してきているという現状を踏まえると、各国の市民レベルで「日本ファン」が
増えることはその国における日本の影響力、日本外交の基盤を強化することになり、
日本にとってプラスである。いわんや有識者においてはその効果はなお大きいだろう、
ということです。

 

このような方針を元に、外務省広報文化交流部ではいろいろな政策が進められていて、
例えば、ドラえもんのアニメ文化大使就任、カワイイ大使の創設、世界コスプレサミット、
国際漫画大賞などが代表的です。

 

もちろん、パブリック・ディプロマシーの具体的な政策はこれらの「ポップ・
カルチャー外交」だけではなく、伝統文化、日本語教育、国際放送、政策広報、人物交流、
知的交流支援、など他にも多数の領域があります。
(詳しくはこちらへどうぞ)

 
ここではその一部のみをご紹介しましたが、質疑応答のセッションでは参加者が木戸さんを
質問攻めにするほど、木戸さんのお話は刺激に満ちたものでした。イベント終了後も帰られる
木戸さんを前にして、なお参加者が「陳情の行列」ならぬ「質問の行列」をつくっていました。
それほどこのテーマは面白く、参加者の関心が高いということなのだと思います。

 
「政府対政府の外交」から「政府対市民への外交」へ

 

ここがパブリック・ディプロマシーが新しいといわれる所以ですが、パブリック・
ディプロマシーの活動領域が、「魅力」をもとに、「日本ファン」「日本の理解」を
増やすことならば、その担い手は政府だけでなく、「政府+市民対市民」という
構図も描くことができると思います。

 

つまり、私たちも日本を体現し、魅力を伝える担い手であり、その意味で、
「外交感覚」、これがいま私たちに求められているのかもしれない。

 
そう考えさせられたイベントでした。

 

 MN (学生スタッフリーダー)