大学生のころ、一人旅をしていました。特に友達がいなかったからです。
何度も一人旅をしていて、ある法則に気づきました。

 

「『普段会えない誰か』に会う」

 

という法則です。今回は自分が経験した3つの事例を紹介しようと思います。

 


大学の2年生の夏休みの時だったか、東日本一帯を青春18きっぷを使って廻ったことがありました。
各県を制覇して、「名産品」と言われているものをとりあえず片っ端から食べる旅です。
もともと高校時代は山岳部でしたので自分のザックと寝袋は持っており、
貧乏学生だったため夜は野宿でした(※ちなみに野宿場所の選定は結構難しいのです。
田舎の夜は本当に暗いので、あまりに人気がないところだと「誰かに見られた時に
事件かと思われるかもしれない」「心配されて声をかけられるかもしれない」
「暴走族の集団が通りかかった時にホームレス狩り(?)に会うかもしれない」などと心配し、
大きな駅の近くだと「人に見られて恥ずかしい」「そもそも場所がない」などの悩みどころがあります)。
旅の途中、宮城県の多賀城市を歩いているとホームレスの人に会いました。
この方は日本全国を歩きながら、人に何かしらの親切をして、その見返りに
何かをもらって生活をしていました。
10代のころからそんな生活をしてきてその時は50代でしたが、見た目や気の若さでは40代前半でした。
その彼と「今までどうやって生活をしてきたのか」や人生論について
一緒にぶらぶら歩きながら話をしました。3時間ほどみっちりと。
別れる時に、こう言われました。
「この言葉を覚えておきなさい。『草木は光のありがたさを知っている』ってね」
「ホームレス」のイメージとはかけ離れた、明るい人でした。
見た目は汚かったのですが、体臭もなかったですし。
・・・考えてみれば、なぜこういう人に話しかけられたのかがまず不思議なところです。
向こうは私がいかにも「旅の途中です」的な格好をしているから声をかけたのかもしれません。
そしてまた、なぜ私が彼の話に乗ったのか、それも不思議です。
彼には足のマッサージをしてもらって(ちなみに自分は男です)、代わりに近くにある
安めのファミリーレストランで一食食べられる程度のお金を渡しました。
日常の中でのこのようなやり取りは経験できません。
こちらも頭の中が非日常モードだったからこその出来事だったと思います。

 


半年後、今度は同じ要領で西日本を廻りました。
高知県でJR土讃線に乗車していたところ、30代と思しき男の人がチラチラとこちらを見つつ
一度私の前を通り過ぎた後、何食わぬ顔でバックしてきて話しかけてきました。
彼が下車するまで2時間ほど、地元四国の民俗などについて話していました。
こちらはもっぱら聞き役です。
特に話したいテーマがあるというわけではなく、私と話をしたいから話しかけてきたようでした。
彼の先祖の話や前年に四国を通過した台風の話、高知駅前の居酒屋のメニューの話などをして、
話題が途切れないように努力されていたのが印象的です。
別れ際にメールアドレスを求められ、「いつか必ずまた会おう」と言われました。
彼は性的少数者の方でしたが、残念ながら自分はそうではないので、結果的に彼が投資した
2時間分の時間と努力は無になりました。
かなりのマシンガントークだったので、結構エネルギーを浪費していたのではと思いますが・・・。

 


翌年、アフリカに行った時のこと。
成田空港から飛び立つ飛行機の中で、隣に座ったのは自分と同年代の女性でした。
自分は飛行機が怖いので、離陸の瞬間はいつも緊張の瞬間です。
にもかかわらず、彼女は眠そうにしており、時々頭がガクッとなっていました。
何がきっかけだったか、彼女とも機内で話をするようになりました。
彼女は天然ボケにもかかわらず、危険なことをする人でした。
フランスに一人旅をしたとき、あるところで中年のオジサンに会って、
やめればいいのにその人の家に泊めさせてもらったそうです
(「だって向こうの人の生活ってどんなものか気になるでしょ?」 そりゃそうだけど・・・)。
彼女 「泊まってから2日目の朝、目が覚めたら下着しかつけてなかったんだ。
それで怖くなって、そのおじさんが起きる前に逃げちゃった。
そういや前の日の夜にヘンなモン飲まされたからね・・・」
彼女 「別の日に友達に誘われてパーティーに行ったら、そこがドラッグパーティーだったんだ。
周りの人が『お前もやれ』って言うからちょっとだけやったんだけど、
『あっ、ヤバイ ヤバイ』って、途中で帰ったよ」
―――フランスが怖いのか、この人が怖いのか。
そしてこれからインドを1か月放浪するというわりに、なぜ靴はサンダルしか持っていないのか。
色々な「?」を抱えながら話を聞いていました。
しかも、
私 「好きなスポーツはある?」
彼女 「んー・・・、木登り、かな」
上記、真面目に答えていました。
このような不思議ちゃんに限って顔がかわいい、というのも鉄板の法則。
トランジット先で別れる時に「手、出して」と突然言われ、私の手のひらに
彼女が自分のメールアドレスを書き出し、日本に帰ったらメールしてほしいといわれました。
この時、ドキッとすると同時に、自分は今人生の岐路に立っているのではないかと直感的に感じてしまいました。 
メールをするべきか、しないべきか。

 

以上の3つのケースは私の一人旅の時の経験でした。いずれも共通するのは
「日常の中ではこのような経験をすることはない」
ということです。少なくとも自分は。
「類は友を呼ぶ」ということわざがありますが、変わったことをしていると変わった人を引き寄せるのだと思います。
皆さんも一人旅をして非日常を楽しみ、「普段会えない誰か」に会ってみてください。
ICC事務所には「地球の歩き方」も全巻そろっていますよ。
それでは!

 

KZ (ICC Staff)